6月の最後の日です。昨夜は大雨が降りましたね。これから暑くなるそうです。

たまには筋トレだけでなく、仕事の話も、、、

今夜は地域の中核総合病院が主催してくださる、地域医療のための初期診療セミナーを受講してきました。

おそらく総合病院の研修医向けの内容なのだとは思いますが、日進月歩の医療を、特に初期診療の領域で教えてもらえるのはとてもありがたく、感謝しています。

講師は県立広島病院 総合診療科・感染症科の谷口智宏先生でした。先生は「地域医療を支える先生方が、救急外来において感染症の診療に困ることを減らす」という目的の下、何回かにわけて感染症の講義をしてくださいます。

今日のテーマは「腹部の感染症」で、大きく、肝胆道系、尿路、腸炎のお話でした。

・胆道系感染症では、必ずしも肝胆道系酵素は上がらない。

ー胆嚢炎では上がらない方が多い

ー胆管炎ではほとんど上がる

ー肝膿瘍は上がったり上がらなかったり

・胆道系治療は、必要であればドレナージ、大腸菌、クレブシエラ、嫌気性菌などを対象に抗生剤、必要であればカル

バペネムも。

 

・尿路感染症(UTI)ー必ずしも膿尿を呈さない、膿尿があればUTIというわけでもない

・高齢者では排尿時痛や背部痛、CVA叩打痛を認めない場合も多い。

・抗生剤は大腸菌、クレブシエラなどの腸内細菌科をカバーする。若い女性であればセフォチアム(or第一世代セフェム)1gq6h。

・他の感染部位が除外され、膿尿があるFUOは腎盂腎炎。

・高齢女性で入院歴あれば培養歴をチェックし、ESBL産生菌既往あればセフメタゾールかカルバペネム

・前立腺炎はST合剤:中枢神経、眼、前立腺については薬剤の組織移行性を考える。

・精巣上体炎でSTDの可能性低ければ腎盂腎炎と同じ治療、STDなら尿道炎と同じ治療。

・尿道炎ではG陽性球菌(=淋菌)あればセフトリアキソン点滴(もしくはスペクチノマイシン筋注)、クラミジアの合併多いのでアジスロマイシン投与も必要となる。

 

・腸炎:キャンピロバクター腸炎:2~7日以内に焼肉、焼き鳥、鳥刺し、鳥料理を食べていれば可能性高い

・水様便の粘液部分を採取し、G染色:G陰性らせん状の小さい菌を認めたらキャンピロバクター

・抗生剤投与しなくても改善するが、クラリスロマイシンが著効。ニューキノロンでは悪化。

 

尿路感染症については、さすがに専門なので大方知っている内容でしたが、特に腸炎のキャンピロバクターについては私にとっては目新しい知識で、便のグラム染色はやったことがなく、便なんか染色してもどうせ菌だらけだろう、と思っていたのですが、やってみようかと思うようになりました。

細菌培養検査は抗生剤の感受性までわかるよい検査ですが、結果が出るまでに時間がかかります。グラム染色はベッドサイドですぐに結果が出て、感染症の原因菌の当たりをつけることができ、無駄な抗生剤の投与が減り、患者さんにとって的確な治療が迅速に開始できる利点があります。私は尿と喀痰のグラム染色はこれまでもやってきましたが、便にも挑戦するときが来てしまうのか、、、

尿路を扱っていると、なぜか便への抵抗感がとても強いです。おそらく腸内細菌からの尿路感染、という事例を繰り返し診療で経験しているので、腸管内は汚い!という意識が強いのだと思います。

どうも誰を対象とした記事かよくわからない内容になってしまいましたが、こうしてたまには医療のことで学んだことも、まとめてブログにしておきたいと思います。

2017.6.30.加美川クリニック院長