少し涼しくなってきた9月の半ばの週初めです。

今日は、Twitterで筋トレをしていると「何を目指してるの?」と聞かれることが多い、という話が上がっており、私も30年近く筋トレをしてきて、良く聞かれたことなので、これについて書いてみたいと思います。

まず、トレーニングをしている者からすると、この質問はあまり耳触りが良くないです。

「何を目指してるの?」が「オリンピックに出れるようなアスリートでもなく、仕事でもないのにそこまで汗水たらして必死になってトレーニングするなんて理解できない」というような意味を暗に含んでいることが多いからです。

この質問に私が答えるとするなら5通りのパターンがあります。

1.私のライフワークですので。

2.JBBFのフィジーク大会出場を目指しています。

3.憲法に保障された権利です(健康で文化的な最低限度の生活)。

4.若返りを目指しています。

5.健康寿命の延伸を目指しています。

1は、純粋な疑問として、仕事上のつきあいで聞かれた場合の返答となります。

私の仕事である、医療において、生活習慣病予防としてのレジスタンストレーニングを地域と世の中に広めていくという活動です。自分自身が人の目指したくなるような健康的な身体になることによって、自分を広告塔にする、という意味があります。

2は、トレーニー仲間(同じようにトレーニングをしている人)から聞かれた場合の返答となります。

実際はフィジーク競技の先には、オリンピアのようなドーピングを暗黙の了解としている世界があることに納得が行っていないので、素直に目指しているとは言えない部分もあるのですが、少なくとも日本のJBBFの大会にはドーピングチェックがありますので、とりあえずはここを目指します。

3.これはからかい半分に聞いてくるような友達に対しての返答になるでしょうか。

今や、健康を維持し、国の医療費負担を減らし、介護されない人生を目指すことは国民の義務と言っても良いような、基礎レベルの生活だと思っています。そのためにレジスタンストレーニングが有用であることは科学的に立証されているのに、これを生活に取り入れないのは、蒙昧無知と言わざるを得ません。

仕事ばかりを重要視し、仕事のストレスは食で発散した結果、メタボとなり、脳心血管疾患を患って仕事すらできなくなる。そんな人たちをたくさん見てきました。すべての基本である健康を蔑ろにして仕事を続けた結果、その仕事すらできなくなり、介護されることになる。正しい優先順位に立てば、トレーニングについて「何を目指してるの?」とか言っている場合ではないはずです。誰もがまずトレーニングをして健康を維持しているのが当たり前の社会になってほしい。そう願っています。

4.は健康に価値を見出しているけれど、どうすればいいのかわからない、という患者さんや近所の方に聞かれた場合、インパクトがあるように答える場合です。

実際、若返るとはなかなか証明できないところですが、トレーニングで分泌が増える成長ホルモンにアンチエージングの効果があることは多くの科学者が認める部分ではないかと思っています。

5.は本当に一般的に、新聞の記者などに聞かれた場合、一番わかりやすい答えとしてはこうなると思います。

レジスタンストレーニングは、筋肉量を増やし、引き続いて余分な脂肪を減らすことで、血管の荒廃を防ぎ、介護の原因となるような疾患を予防します。

さらに、筋肉量が維持、増進することは、サルコペニアという寝たきり状態の予防、さらに骨粗鬆症からの骨折の予防にもなります。

これがつまり健康寿命の延伸です。

 

いかがでしょうか。これを読んだことで、トレーニングしている人に、「何を目指してるの?」と聞きたかった方々が少しでも、納得して、むしろ聞かれる側に回ってくださることを願っています。

2020.9.14.加美川クリニック院長