今日は、体組成検査という検査の重要性についてお話ししてみたいと思います。

皆さん、自分が肥ったか痩せたかを判断するときに体重計に乗りますね?体に脂肪がついたら体重が増えるので体重が増えたことをもって、太った、と判断する人が大半だと思います。
これは、あまり運動をせず、食べ過ぎの方については正しい判断だと思います。
しかし、運動療法を始めて、メタボを治そうと取り組み始めた人にとっては、体重というのは必ずしも健康管理の指標とはなりません。

というのは、筋肉は同じ体積で脂肪の1.5倍の密度のある組織なので、ある人の体の脂肪がもともと10㎏あったとして、その脂肪組織がすべて筋肉に変わったとすれば体重は5㎏増えるのです。
ですから、運動を始めたら、体重が増えてしまうことは往々にしてあることなのですが、これは必ずしも脂肪が増えたのではなく、筋肉で体重が増えた、という場合が多いと思います。
脂肪が減って、筋肉が増えたのであれば、メタボの最悪の合併症である血管の障害からは遠ざかることになるのですから、体重は増えていても喜んでいいのです。それなのに体重が増えたことでがっかりして、運動をしても痩せない、と誤解し、運動を止めてしまう方を時々見かけます。

そんな勘違いで運動を止めてしまうのはもったいないので、ぜひ皆さんには、体組成検査をしていただきたい、と思うのです。

体組成検査とは、体の組成を調べる検査で、体を構成する組織を、骨、筋肉、脂肪に分けて、それぞれ何%あるかを割り出します。タニタの体重計などには体脂肪率を図る仕組みがついているものがありますが、あれも一種の体組成検査なのです。

ただ、タニタの体重計が体脂肪を図る仕組みは、両手などから微弱な電流を流し、その通電率を使って、体の脂肪の率を計算しています。したがって、電気が流れやすくなるような状態、たとえば汗をかいている、スポーツ飲料を飲む、お風呂上りである、といったことで簡単に通電率が上がり、体脂肪は誤って低く測定されてしまいます。逆に掌が乾燥しているなどの条件で、体脂肪率は誤って高く出てしまうと思われます。

私たちが運動をするうえで、一番に目指すのが、脂肪を減らすことなので、効果を見るうえで、脂肪の量が間違って測定されてしまうことはとても困ります。正確な体脂肪率を知ることで、運動の効果を正しく評価でき、やり方を修正したり、モチベーションを維持したりできます。

そこで当院ではDEXA(二重X線吸収性)を用いた体組成検査を行っています。

2016-12-12-%e5%8f%96%e3%82%8a%e8%be%bc%e3%81%bf%e7%94%bb%e5%83%8f-013このような装置の上に8分間横たわっていただくと検査が完了します。

この検査はX線を用いますが、被ばく量は通常の胸部レントゲン検査の20分の1であり、妊婦の方でも受けていただくことのできる検査で安全です。

ただし体組成目的の検査の場合は、保険が効かないので、自費での検査料金1500円をお支払いいただく形になります。またこの検査は機械の立ち上げの関係で、平日の午後13~15時、土曜日の10時~15時の間に予約制で施行させていただいております。体重計での体脂肪測定に比べたら、かなり手間がかかってしまいますが、正確な体脂肪率、筋肉量を知ることで、トレーニングの効果を正しく判定し、より良い身体づくりに役立てていただけるはずの検査だと考えております。

2016-12-12-%e5%8f%96%e3%82%8a%e8%be%bc%e3%81%bf%e7%94%bb%e5%83%8f-011 検査結果はこのようにレポートされます。数字が小さいのですが、現在の私の体脂肪率は11.6%であることがわかります。夏場は7%だったのでかなり脂肪がついてしまいました。ただ、筋肉量は夏場からは3㎏増えており、脂肪が約1㎏増えた状態です。筋肉量がしっかり増えているので、私としては計画通りに身体づくりが進んでいる、と考えています。

DEXAによる体組成検査は、加美川クリニックの受付から予約が可能です。ぜひ皆さんもご自分の体の組成を把握したうえで、運動療法に取り組んでみてください。

2016.12.12. 加美川クリニック院長