地域で開催された、勉強会に参加してきました。

本日の講師の先生は、日本大学医学部、心臓血管外科講師の瀬在 明先生でした。

内容は心不全の治療について。
瀬在先生の臨床実感とエビデンスに基づいたお話で、私にとっては畑違いながら、透析診療で心不全診療はどうしても関わるので、とても役に立つお話でした。

・RAAS系(レニンーアンギオテンシンーアルドステロン)を抑えることが、心不全の治療であり、遠隔予後を延ばす。
・アルドステロンが高いことが臓器障害、予後短縮に繋がる
・心不全の治療にはhANP(カルペリチド)の持続静注が有効(0.05μg/kg/min x 5hours)
・hANPには、心保護(肥大抑制)、腎保護(腎機能回復)作用がある。
・慢性腎不全からのhANP投与で透析離脱できた症例も!
・アルドステロンを抑えることが重要なので利尿薬はスピロノラクトンを使う
・ARBは投与初期はアルドステロンを抑えるが、投与6か月から1年でアルドステロンブレイクスルー(アルドステロンが再上昇する、必ずしも高血圧を伴わない)が起こる(ブロプレスで40%)
・オルメテックはアルドステロンブレイクスルーを起こしにくいARB
・アジルバは降圧作用は強いが、やはりアルドステロンブレイクスルーは起こる。
・SAS(睡眠時無呼吸症候群)は日本人には多い。
・SASにて睡眠時の重篤な不整脈、心房細動など。
・無呼吸は心房への負担が大きい>心房利尿ペプチド分泌>夜間頻尿
・重症心不全は入院しても、認知>転倒>寝たきりコンボで良い展開は無い。
・むしろ重症心不全を外来にてhANP+サムスカで加療していく(サムスカ導入には入院必要)
・hANP(0.05μg/kg/min x 5hours)x1回/2weekの加療で、重症心不全が十分治療可能な成績を出した
・心臓リハビリも効果的
・レスパイト入院>介護する家族に休息を
・心不全の治療は3系統から
1.交感神経抑制:βブロッカー:メインテート、アーチスト有効、テノーミンは不可
2.RAAS系抑制:hANP,オルメテック
3.バゾプレシン抑制:サムスカ

オルメテックの販売元、第一三共株式会社がスポンサーの講演会なのでその部分は考慮して受け止めるべき部分はあるかと思います.

また、高血圧治療の基本は減塩にあると思うので、減塩についてはどうされているのか、ということ、

アルドステロンブロッカーのセララ、なかなか使いにくいのですが、どのように考えておられるか、など、聞いてみたかったのですが、畑違いなのでやめておきました。
勉強になる話が多かったと思います。

2017.2.25.加美川クリニック院長