今日は最近話題になっていた医療のニュースについて、私の見解を述べてみたいと思います。
1か月くらい前に、長谷川豊氏という関西のアナウンサーがブログで
「自業自得で腎不全になった透析患者が日本の医療経済をひっ迫している。自業自得で透析になった患者は医療費を自己負担すべきだ」というような記事を書きました。
注目を集めたいがために煽情的な物言いをしていたために、この記事によって長谷川氏は大いに批判を浴び、結果として仕事を失う、というような形になりました。
病気の中には、原因と結果がはっきりしており、本人が避けようとすれば避けることができたはずの病気、というような性質の病気もあります。
たとえば、喫煙による肺がん。さらに喫煙は、喉頭がん、胃がん、食道がん、膀胱がんといった多くのがんのリスクも2倍から4倍まで高めてしまうことが分かっています。また長期の喫煙は必発と言ってよいほど肺気腫という病気に繋がります。
その事実が分かっているのに、煙草を吸い続けて肺がんになった人。この人は自業自得なので、その肺がんの治療のための医療費は保険から出さず、全額自己負担としたほうが良いのでしょうか?皆さんはどう思われますか?
私はことはそう簡単には片付かない、と考えています。たとえばアルコール依存症で肝硬変になってしまった患者さん。この方は、アルコール依存に、本当に自分の意志で進んでなった、と言えるのでしょうか?性格的に弱く、アルコールに頼ってしまう、というその性格も、本人の責任なのでしょうか。
たばこを売っている側には責任は無いのでしょうか?たばこを許可している政府に責任は?
自分から病気になりたい人なんて、基本的にはいないはずです。
糖尿病は自業自得なので医療費自己負担などというのは、言いたいことは確かにわかる部分もありますが、どこからが自己責任なのか、他の要因は無いのか、誰が自己責任だと判定するか、など、難しい問題がたくさんあるので、簡単にすべて自己責任だと決めつけてしまうのは、いささか乱暴な考え方だと言わざるを得ないです。
それよりも予防医学、啓蒙活動を通じて、こうした原因が分かっている病気にかかる人を少しでも減らすような、活動を行っていくべきだと思います。
当院では人から介護される人生に繋がってしまうメタボという病気を予防し、治療していくために、筋肉を鍛える活動を世界に訴えていくつもりです。
是非一度当院のメタボ予防外来を受診してみてください。