今年は、COVID-19の感染対策のためすべての活動が自粛となり、ボディメイクの大会にも出ず、学会もなく、ずっと日々業務と筋トレをただ続ける毎日です。仕事がさせてもらえるだけ感謝すべきではあるのだと思っていますが、やはり思った活動をやれない鬱憤は溜まります。
さて、久々の更新ですが、今日は3つの話題があります。
1.COVID-19は8月現在どういう感染症となったか、という私見。
2.今後のボディメイクの方向性。
3.ドーピングに関する私見(続く)。
1.新型コロナウィルスは現在どういう感染症なのか。
COVID-19は、今年の2月くらいから日本で広まり始めましたが、現在まで確認されている感染者数が52,460、死者数が1,073です。致死率は0.02%。
当初、季節性インフルエンザによる致死率が0.1%なのに対して、COVID-19による致死率は約2%と言われていました。これは中国武漢での数値を参照した値だと思われますが、インフルエンザの20倍の致死率で、さらに高齢者、基礎疾患のある人ほど重症化、死亡のリスクが高くなる、と言われていました。
ところが結果として現在までの致死率はインフルエンザの5分の1でした。もちろんこれは、日本の医療体制が高い水準にあること、緊急事態宣言をはじめとする国民の自粛生活により、医療崩壊を防げたこと、最前線の医療者の努力、これらがあってようやく達成できた数値とは思いますが、この数値を見る限り、そこまで恐れるべき疾患なのか?という疑問が湧いてきます。
私は90名弱の透析患者さんに診療を続けている医療者であり、今後も有効なワクチンが重症化するリスクある患者さんに行き渡るまでは、COVID-19が拡がる行動や、当院でCOVID-19が広まらないように予防する行動を続けます。
しかし、季節性インフルエンザより致死率が低い疾患にここまでの自粛生活を続けていくことは、経済が衰退する、という観点以外からも不要ではないか、という議論が今後もっと出てくるのではないかと思っています。
自粛を緩めることで本来守りえた、患者さんの命が危険にさらされることのないように慎重でありながらも、そうした議論がどのような結論に向かうのか注目していきたいと思っています。
2.今後のボディメイクの方向性 COVID-19について記事にした4月から現在まで続けてきたのは、同じ体重を維持して、筋肉量だけ増やし、脂肪を減らすことが可能かどうか試す、ということでした。 タンパク質を意識して多く(体重x2.0~2.5g/日)取りながら、総カロリーとしては一日の消費量に合わせ、トレーニングを行っていき、トレーニング中にカタボリックにならないように、トレーニング前~中にはしっかりアミノ酸と炭水化物を取っていました。 しかし結果としては、体重は69㎏~70㎏の間で維持しましたが、筋肉量は1.1㎏落ちて、体脂肪率は14.8%から16.5%に上がりました。散々な結果です。 やはり言われているように、アナボリックフェイズとカタボリックフェイズは分けて、筋肉量を増やしたいなら、脂肪も増やしつつ、体重全体を増やしていく(増量期)。 絞りたいなら、筋肉が落ちることも覚悟しながら体重を落としていく(減量期)。という従来のやり方でやるしかないのかな、と考え、この8月からは来年まで増量していくという方向に切り替えています。 トレーニングについては、当院スポーツジム、ウェルのスタッフが考えてくれた4つのフェイズを切り替えていくスタイルのトレーニングを継続しています。 筋形質増大フェイズ4週→収縮タンパク質増強フェイズ4週→ネガティブフェイズ2週→回復フェイズ2週の約3か月で1周となる変化に富んだプログラムです。おかげで飽きが来ず、筋肉痛もかなり実感するトレーニングができています。さらに筋肥大も起こってくれるとよいのですが、少なくとも直近の4か月は失敗でした。 私は2013年に当院にDEXAが導入されてから、ずっと経時的に自分の体組成を測定してきておりますが、2013年には52~54㎏であった筋肉量が、2017年には54㎏~56㎏と明らかに増えましたが、以後の3年はずっと54㎏~58㎏と変動はあるもののほぼ横ばいのようです。永遠に大きくなるわけはなく、自分の骨格に相応しい筋肉量というものがあるとは思いますが、1年に1㎏ずつでも増やして、理想の身体に近づけていきたい、と思います。 |
3.ドーピングについて、再度考察したいと思っています。 筋肥大は、健康に良いことがわかっています。 薬を用いて筋肥大を起こすドーピングの何が悪いのか。 すでに何度もこの話題については述べてきましたが、私の考えも徐々に変わり、熟成されていくはずなので何度も考えてみたいと思います。 ・ドーピング禁止のコンテストや競技にドーピングをしている人が出場する、というのは言語道断の迷惑行為であり、これについては議論の余地はありません。 ・競技などに出ず、自分一人が楽しむために筋肥大のためのドーピングを行うのはどうか。これも用量依存性の効果があるだけに、過量投与→副作用の危険が増すのでやはり良くない、とすべきです。 ・では医療者が副作用や過量投与に十分注意しながら筋肉増強剤を投与するのはどうか。 これについては健康上は問題ないですが、結局、その筋肉増強剤を使って筋肥大した人が、どういう活動を行うのか、ということが問題になります。 個人が楽しむだけなら、誰にも迷惑はかからないはずですが、筋肉量の多い、かっこいい身体になったら、必ずそれを他人に見せたくなるものではないかと思います。 それを見せるということは、どうやってその身体を手に入れたのかを聞かれることになるかもしれませんし、もしその人がYoutubeとかやっていたら、その身体によってお金を得ることに繋がるかもしれません。 その身体を、ドーピングで作ったのにも関わらず、そのことを伏せて、トレーニング方法とか、食事法、サプリメントなどをその人が紹介していたとしたら、それは詐欺になります。 これらのことについて、参考文献やデータを交えながら、また取り上げてみたいのですが、今回は長くなったのでこのあたりにしておきます。 早くCOVID-19のワクチンがリスクの高い方に行き渡り、コロナ過を超えて合理化した社会でもっと伸び伸び普通の活動ができる日が来ることを願っています。 2020.8.14.加美川クリニック院長 |