今年もあと10日と少しになりました。当院では大掃除も忘年会も終わり、あとは年を越すのみです。
ただ、透析業務にも、トレーニングにも、年末年始は関係ありませんので粛々と毎日のDutyをこなしながら年を越すことになります。
さて本日はH29年11月30日に、地区の学術講演会で、鳥取大学耳鼻科の竹内先生にご講演頂いた、抗ヒスタミン薬の使い方についてまとめてみたいと思います。
前半はヒスタミンと抗ヒスタミン薬の全般的な話題。
・ヒスタミンとは、アミノ酸ヒスチジンから合成される、生体アミン。受容体にH1~H4まである。
・アレルギーに関係するのはH1であり、アレルギー領域での抗ヒスタミン薬とはH1ブロッカーのことである。
・ヒスタミンはヒスタミン神経末端、肥満細胞から分泌される。
・細菌性食中毒(サバなど)の原因物質ともなる。
・I型アレルギーでヒスタミンは分泌され、くしゃみ、鼻水、鼻閉、結膜充血、涙目、目のかゆみ、といった症状を起こす。
・ヒスタミン神経は覚醒、運動亢進、摂食抑制、ストレス抑制、痙攣抑制の方向に働く。
・これがブロックされることにより、抗ヒスタミン薬では、インペアードパフォーマンス、ワーキングメモリの障害、肥満が引き起こされる。
・第一世代抗ヒスタミン薬はH1のみならず、ムスカリン受容体、セロトニン5HT2受容体にも作用し、口渇、錐体外路症状もあった。
・第2世代ではH1のみ選択的にブロック、しかし眠気、インペアードパフォーマンスの問題はあった。
・第3世代では、さらに薬剤の中枢移行を抑制し、眠気を減らすものとなった。
・抗H1薬の適応:急性上気道炎、アレルギー性鼻炎結膜炎、皮膚炎
・鼻腔は、気道であることで、脳の温度を下げ、パフォーマンスを向上させている。鼻閉で脳のパフォーマンスが落ちる。
・メンソール、迎香(ツボ)で、鼻閉感は改善するが、気流までは改善されていない。
・小児に第一世代抗H1剤は危険。ザジテンは小児でも用量制限が無い。
後半はアレルギー性鼻炎の治療を詳しく
・治療選択肢として、①点鼻ステロイド(IHS) ②点鼻抗H1 ③経口抗H1とあるが、アメリカではこの順で有用性が高いとされる。
・IHSが最も有効とされる。
・点鼻抗H1は、苦い、高い、複数回の投与必要。
・経口抗H1は、軽症で、間欠的に治療を行う場合に適する。鼻粘膜の収縮は期待できない。
・経口抗H1は、薬剤間で、効果にはそれほど差は無い。眠気については確かに差がある。
・効果の強いもの:ビラノア、ザイザル、アレロック
・眠気の強いもの:アレロック、ジルテック
・眠気の少ないもの:ビラノア、デザレックス、ディレグラ、アレグラ(自動車の運転が許可されているもの)
・ビラノアは名二塁手。
・経口抗H1+IHSの併用は、アメリカでは効果ない、とされるが、日本のような重症花粉症においては有効。
・新しくルバフィンという抗H1もでるが、いまのところこれまでの薬剤と大きく差を感じるものではない。
以上のようなトピックスがありました。
専門外の者にとっては、専門の方が、一般臨床家に分かりやすく解説してもらえるこのような講義はとてもありがたいです。
いびきのこともそうですが、脳のパフォーマンスが落ちるのが一番嫌なので、鼻の通りもなんとか改善したいものだと思いました。